現場でのリアルと工夫
「制度があるのは知っているけれど、実際に使っている人を見たことがない」
「職場に迷惑がかかりそうで言い出せない」
「申請したらどんな反応をされるんだろう…」
そんな声が、動物病院の現場から聞こえてきます。
産休・育休・介護休暇は、労働者の権利として法的に保障された制度ですが、
「使える環境があるかどうか」は別の話です。
今回は、制度と実態のギャップに目を向けながら、現場で活かすための工夫やヒントを考えてみましょう。
制度があるのに使えない?背景とは
少人数の動物病院や、ギリギリの人数で仕事を行っている動物病院で時折聞くのが、
「一人が抜けることが業務に大きな影響を与える」
「自分が休むと周りが大変になるから、そう思うと休みを取りにくい」
といった声。
制度自体は整っていても、実際には現場で働く人たちにとって、こんな「使いにくさ」があります。
- 「迷惑をかけるかもしれない」という心理的プレッシャー
- 周囲に前例がなく、申請しにくい雰囲気
- 短期間で復帰してほしいという無言の期待
- そもそも上司や経営者が制度に詳しくない
制度はあっても、<使える空気>や<仕組み>がないと、意味がないのです。
では、制度を<現場で使えるもの>にするために、どのような工夫が必要でしょうか?
1. 情報を「可視化」する
そもそも、働く人自身が職場の制度を知らないケースが存在します。
就業規則や、スタッフ用の情報共有ツール(LINEグーループのノート機能など)に、休業制度の利用条件や申請方法をわかりやすく明記することで、従業員が平等に職場の制度について、最低限の情報を知ることができます。
2. 前例を活用する
過去に制度を使ったスタッフの事例を共有したり、育休取得後に復帰したスタッフが経験談を共有することで、
他のスタッフにとって「私も使っていいんだ」と思える安心感が生まれます。
3. ピンチをチャンスに変える視点
休業予定のスタッフが出るタイミングは、他のスタッフにとってスキルアップのチャンスや、キャリアの転機になることもあります。急な出来事に、不安を感じることもあるかもしれません。
業務の引き継ぎや役割分担を前向きに捉えることや、「お互い様」の気持ちを誰もが持てるような職場の職場の文化は大切です。
4. 院内に「相談できる人」を明確にする
休業に関する相談をしやすくするために、院内に労務担当者や信頼できる相談役を設けましょう。
外部の社労士やキャリア相談窓口と連携するのも有効です。
使った人の声が、制度を活かす
「復帰後のサポートがあったから安心して育休を取れた」
「介護休暇をきっかけに、働き方を見直せた」
そんな声が院内に広がっていけば、それが<安心して制度を使える職場>をつくる土台になります。
もしも、「制度があることを知っていても、前に踏み出せない」方は、
あなたの一歩が、未来の誰かの働きやすさにつながっていくということも、ぜひ覚えておきましょう。
人生の中で、<出産・育児・介護・自身の療養>といったライフイベントは誰にでも起こり得るものです。
その中で、制度を「使える」ことは、長く働ける環境の鍵にもなることでしょう。
一時的に職場を離れることが迷惑ではなく、みんなで支え合う自然なこととして受け入れられるような職場づくりが、
その職場で長く働き続ける力になります。
制度があるだけで満足するのではなく、
「安心して使える」ことこそが本当の働きやすさです!
